
traverse26 [GUIDE] 3つの惹かれの旅 ─ おすすめの読み返し方
本号「惹かれるもの」を最後までお読みいただき、ありがとうございます。
私たちが本誌で提示した掲載順は、あくまで一つのルートに過ぎません。ここでは、その鎖を解き放ち、全く異なる文脈で記事を再発見するための「もう三つの旅」の地図をご提案します。
旅1:「身体」から「地球」へのズームアウト
個人の手のひらサイズの実践から出発し、徐々に視点のスケールを広げ、地球環境というマクロなシステムへと至る旅。
【手】から【足】へ
手元の素材をブリコラージュする「手」の感覚から、沖縄の地を踏みしめコンクリートの熱を感じる「足(身体全体)」の感覚へと拡張。
10 村上凌(Essay) → 07 四十坊広大(Essay)
【物質】から【風景】へ
特定の物質(コンクリート)への没入から視点を引き、日常の風景の中に潜む「間(ま)」という関係性の発見へと移行。
07 四十坊広大(Essay) → 19 大槻一貴(Essay)
【私】から【地域】へ
個人が見出した関係性から、地域住民と協働して公開という「公共空間」の関係性を構築する実践へとスケールを広げる。
19 大槻一貴(Essay) → 11 小見山研究室(Project)
【地域】から【都市】へ
地域の公園という局所的な場所から、都市全体を流れる「ハレとケ」という時間的・空間的構造の側へと視座を上げる。
11 小見山研究室(Project) → 21 宮田大樹(Essay)
【都市】から【社会構造】へ
目に見える都市空間の観察から、無数の個人の語りによって構成される「社会構造」という不可視なシステムの解明へと進む。
21 宮田大樹(Essay) → 06 岸政彦(Interview)
【人間社会】から【生態系】へ
人間社会の構造分析から、人間の営みと自然(雑草)が織りなす「生態系」の構造分析へと対象を自然界まで拡張。
06 岸政彦(Interview) → 02 黒川俊二(Interview)
【生態系】から【地球】へ
特定の生態系の観察から、人間活動と地球環境がいかに共存できるかという「地球規模」の課題解決へと至る。
02 黒川俊二(Interview) → 03 小林研究室(Project)
旅2:「記憶」の発掘と「未来」の実装
過去の記憶や歴史的価値をいかに薫り起こし、それを最新の技術や思想を用いてどのように未来へ実装するかを巡る旅。
【個人の記憶】から【歴史の記憶】へ
個人の住まいに蓄積された「小さな記憶」の収集から、ビザンティン聖堂という建築史上の「大きな記憶(歴史)」の解析へと移行。
04 柳沢研究室(Project) → 23 猪股圭佑(Research)
【歴史の解析】から【歴史の保存】へ
歴史的空間の学術的な「解析」から、それを現代社会においてどう「保存・活用」し伝えるかという実践的な課題へ移る。
23 猪股圭佑(Research) → 18 里中栄貴(Essay)
【アナログな保存】から【デジタルな保存】へ
物理的な建物の保存活動から、デジタルツイン(3Dスキャン)を用いて空間情報を永遠化する「情報の保存」へと手法を転換。
18 里中栄貴(Essay) → 17 鍵屋荘PJ(Project)
【過去の再現】から【現象の再現】へ
過去の空間をデジタルで再現する技術から、普遍的な物理現象(火災)を計算機上で再現・予測するシミュレーション技術へと展開。
17 鍵屋荘PJ(Project) → 15 孫安陽(Research)
【現象の計算】から【形態の計算】へ
現象を解析するための計算技術から、新しい形態を創造するための「ジェネレーティブ(生成的)」な計算技術へと応用。
15 孫安陽(Research) → 13 林研究室(Project)
【建築の未来】から【知性の未来】へ
建築という「器」の未来形から、その中で活動する「知能(ロボット)」との共生という未来の生活像へと視点を移す。
13 林研究室(Project) → 16 神田崇行(Interview)
【技術の未来】から【人類の未来】へ
技術的な未来予測から、世界史的な転換点を踏まえた「人類と地球の未来」という包括的なビジョンの提示へと至る。
16 神田崇行(Interview) → 24 布野修司(Essay)
旅3:「カオス」と「コスモス」の対話
「わけのわからないもの(カオス)」をどう受け入れ、理知の力でどう秩序(コスモス)立てるかという、建築的態度のグラデーションを巡る旅。
【不可知への対峙】から【不可視への介入】へ
未知のものと理知的・身体的に格闘する研究者の態度から、儀礼を通じて不可視な力に介入する呪術的な実践(非合理的な領域)へと踏み込む。
20 福田伊織(Essay) → 22 石井美保(Interview)
【呪術的カオス】から【祝祭的カオス】へ
静的で厳粛な儀礼の世界から、動的で熱狂的な「祭り」の世界へと移行し、カオスのエネルギーを肯定的に捉える。
22 石井美保(Interview) → 09 根城颯介(Essay)
【カオスの享受】から【カオスの編集】へ
祭りのカオスを享受する態度から、即興性やノイズを意図的にデザインへと「編集」するプロフェッショナルの手つきへ。
09 根城颯介(Essay) → 12 遠藤治郎(Interview)
【動的な編集】から【静的な秩序】へ
動的で流動的なデザインから一転し、離島のコミュニティが長い時間をかけて形成した「静的で強固な秩序」への愛着へと反転する。
12 遠藤治郎(Interview) → 08 野上乃愛(Essay)
【生活の秩序】から【計画の秩序】へ
自然発生的なコミュニティの秩序から、建築計画によって人為的に構築・管理される「計画の秩序」へと、理性の側面を強調する。
08 野上乃愛(Essay) → 05 笹谷匠生(Research)
【機能的秩序】から【数理的秩序】へ
人間を管理するための機能的な秩序から、純粋な美しさを追求する「数理的な秩序」へと、秩序の質を昇華させる。
05 笹谷匠生(Research) → 14 大崎純(Research)
【秩序の探求】から【根源への回帰】へ
数理的な美の探求を経て、カオス(世界)の中からいかにして建築(秩序)を見出すかという、根源的な「思考」の原点へと回帰する。
14 大崎純(Research) → 01 竹山聖(Essay)