自治寮と、暮らしの姿

——なにか印象的なエピソードはありますか?

高橋 役満あがったら壁一面にバーって書けるんですけど、あれだけの役満があの場で生まれたんですね。(右の写真)どれだけの学生が時間を無駄にしただろうか、と思ってしまいます。

山下 ある卒寮生が来た時に、僕が麻雀部屋でいっぱい名前を見ましたって言ったら、「ずっと麻雀しかしてなかったのがばれちゃうじゃん」とすごくバツが悪そうにしていました。

——よく使われる時間帯はありますか?

高橋 昼に開いてることはあんまりないんです。夜に雰囲気を漂わす。最近は蛍光灯になりましたけど、前までは裸電球1つの真下で超古い麻雀卓で打ってて、雰囲気が出てました。

——部屋には卓が3台ありましたが、どのように使っているのですか?

高橋 元々いちばん古い卓ひとつしかなかったんです。ある卒業生が来た時に、4位とったら新しいの買ってくださいよって言って1戦やって、最初その人は4位にならなかったんですよ。その後に、「まだ1時っすね。じゃあもう1戦やりますか」みたいな。で、もう1戦やって、3人で頑張ってその人を4着にさせて10万円ぐらいの卓を買っていただき、今はその卓でやってるんですよ。

山下 成功したら何々、失敗したら何々みたいな、全奢りでコムパを開催しますみたいな、確約っていう文化がありまして。もう一つの卓は、公認会計士などに落ちたら雀卓を寄贈すると確約していた人がいて、その人の寄贈です。

——日常的にこの部屋を使う人はどれくらいますか?

高橋 10人くらいです。人が泊まる時はあそこに布団敷いてみんなに寝てもらったりもします。

麻雀部屋の壁に書かれた役満あがりの記録

居室

——なぜ自身の居室を開放するようになったのですか?

米谷 きっかけはエアコンです。ボート部に入っているんですけど、合宿多めの部活なので部屋を1週間とか空ける時があるんです。その時に「エアコンがあるんだから、いない間誰かここで涼んでいきなよ」みたいな感じで言ったら、いつの間にかそこに布団が増えてて、知らない布団が置いてあった。それが始まりです。

——この部屋にいる人は、多い時や少ない時でそれぞれどのくらいの人数ですか?

米谷 居室は少ない時は私1人なんですけど、多い時は結構多くて。一時期DSがすごい寮内で流行ってて、その時にみんなこの部屋で妖怪ウォッチをしていました。最大ここで5人寝てたこともあります。5人で寝た時は、私はこの椅子のリクライニングを倒して寝て、 ほぼ寝落ちみたいな感じで寝ていました。日中はあんまり人はいなくて、夜が結構多いですね。それこそ夜は大概サロンに集まるけど、何人かこっちに来る。メンバーはだいたい固定でよく見る顔が多いです。

——集まる人は、居室が近かったりするのですか?

米谷 そういうわけではなく、なんとなくの流れです。逆に私も他の人の居室にはとりあえず目的もなくノックして行きます。とりあえずノックして開けてみる、いたらちょっと喋って帰ってくる、みたいな。

——どなたがどこに住んでいるのかは把握されていますか?

米谷 把握しています。多分discordの名前にみんな入寮時期と名前と部屋番号をニックネームみたいな感じでつけてるので、最初のうちはそれで覚えて、今は自然と分かるというか、全員覚えています。

——なにか印象的なエピソードはありますか?

米谷 この部屋にはタイルカーペットが敷いてあるんですけど、ここ(居室)の床って本当に何もしないと、外の廊下から床が続いてるんです。私は結構部屋の改装をすごく力入れてやった方です。タイルを一旦全部剥がして、タイルカーペットを切って。ちょっと実家の協力も仰いでやったっていうのが、個人的には結構思い入れ深いです。

——壁に落書きが見られますね。

米谷 壁は特に手をつけてないです。ここは落書きが少ない部屋だったんですけど、 記録を見ていると、震災時の日記みたいなのがあったりして。震災時にラップを巻いて皿代わりにしていた段ボールがそのメモと一緒に壁に貼ってあったり、 停電時の様子が書かれていたり。「3/14 夜8時 電気キター!!」とか書いてありますね(下の写真)。寮の方針として、部屋の改装は些細なら自由にやって良くて、気になるようだったら、壁の落書きを塗り直しても良いと定められています。ただし、この落書きも文化の一部であるみたいな感覚で、塗り直す前に1回写真とかで記録を取ってから塗り直してほしいみたいな位置づけです。だから、廊下とかも基本的に全部落書きは残してます。部屋によっては、落書きがある方がいいって言って、自分で落書きをしまくっているところもあります。

——今後2人部屋になるとのことですが、心配事はありますか?

米谷 この部屋は荷物が多くてどうしたもんかなと思ってはいます。今まで1人で住んでいて部屋を思いっきり改装しちゃった人とかもいて、 その人を別の人と組み合わせてそこを出ていってほしいとかっていうのも酷だよね、みたいな感じで、それも二人部屋に向けた話がややこしくなる一因になっていたりします。あとは電気容量、電気のブレーカーの話ですかね。3部屋で20アンペアなんですよね。例えば301室、302室、303室で1系統20アンペアなんですよ。すると1人当たり6アンペアちょっとなんですよ。これが2人部屋になって6人になると、1人3 アンペアぐらいしか使えなくて、本当に何もできなくなる。私はここにめちゃくちゃ機械置いたり、エアコンとかすごくいろいろ電気を使っていますけど、これはもう電気を共有する302室、301室の人が奇跡的に電気を使わない人だったりして成り立っているんですよ。だから他の部屋だと、ドライヤーをつける前にちょっとノックをして「今からドライヤーをつけるから気を付けてほしい」と言ったり、そもそも部屋で使わないで廊下のコンセントに挿すとかしています。結構そこは難点というか、どうしようもできないけどどうにかしてほしいなと思っているところですね。

米谷さん居室の壁に残された震災時の記録 (写真左上から3/11-3/14の記述がある)

サロン

——サロンの使われ方、利用頻度、人数などを教えてください。

山下 サロンは帰省している時期でなければ夕方、夜だったら誰かいて何かやってるという感じですよね。必ずみんな通るところだし。明確な目的があるとかではなくて、何となく来るという感じなのがすごく良い。

米谷 誰かいるだろうから行くみたいな。

——印象に残っているエピソードはありますか?

山下 あそこは元々結構文化的な空間としてやろうみたいな感じだったので、レコードが置いてあったり。今は壊れちゃって4階に移動してますが。音響の設備とか。あと、僕とか本棚に推薦図書を置いています。あとコモン文庫というのがあって、本1冊入れて1冊取ってくみたいな、そういう本棚があります。結構ずっと同じ本が置いているように感じるかもしれないですけど、見るたびに本が変わっているんですよ。ちゃんと機能している。多分遊びに来た人がやってると思います。

米谷 普通に有志があそこに買ってきた漫画を置いてくれるから、ありがたく読ませていただいています。たまにdiscordで「何々の何巻買ってきました」とか共有されます。あとは共用のゲーム機があります。

高橋 今そこには、 play stationの3と4が置いてあって、今年なぜかWiiが置かれ、あとSwitchが置いてあります。

——気に入っているところはありますか?

山下 建物の構造として、必ず交流が生まれる場所にいちばん人が溜まる場所があるっていうのはすごい良いですよね。

——使い方のルールはあるのですか?

山下 使い方に規則はないです。結構自由に使ってます。汚すな、名前書かずに共用部に置いておいたらそれは共有物だっていうくらいです。

——総会もサロンで行っていますか?

山下 総会は、(サロン)奥の卓球台とか置いてあったスペースで、ちゃんとそれっぽい形を作ってやってますね。結構仰々しく総会的にやってます。うちは総会が丸1日あるので。昔の寮が潰れそうで大変だった時は15時間の回もありました。金曜の夜の7時、みんな帰ってきてからスタートして、(朝の)8時に終わったり。

高橋 それまでめちゃくちゃ議論して、対立とかがあったんだけれど、6時ぐらいに終わって、朝日を見ながらみんなでタバコ吸って「頑張ろうな」みたいなこともありました。

米谷 今は朝の9時スタートになったんで、(終わるのは)夜ご飯ぐらいかな。

音楽室

——利用人数や頻度、使われ方などを教えてください。

高橋 音楽室を使う人は結構限られていて10人ぐらいです。知っているので言うと、3人でリコーダーアンサンブルをやりたいみたいなことを言って、たまに練習している人がいますね。

米谷 隣の寮の人も来ていますよ。他寮生の人は音楽室を利用する際に連絡する場所があります。でも使われているのは、基本的に土日ですかね。

——特に夜は使い方に配慮がいると思うのですが、使い方のルールなどはありますか?

米谷 夜は音が響くので紳士協定があります。明文化されていないけれど、夜の8時までみたいなことになっています。

——音楽室を音楽以外の用途で使用することはありますか?

米谷 あそこは断熱されていないので夏場は温室みたいになっちゃうんですけど、春は勉強してる人とか結構いました。ちょっと離れた位置にあって、誰も弾いていない時は静かなんで。

——音楽室にある古い楽譜や書籍が気になりました。

山下 音楽室に置いてある本はほぼ全て昔のやつで、結構古いです。バンドを組んだり音楽をやっている寮生の数がすごく多い時期があって、10何年前とかはそんな感じだったらしいです。その時に、そこのものは結構色々整備されたんじゃないかなと思います。

音楽室にある古い書物

委員会室

——委員会室の使われ方を教えてください。

山下 委員会室はあんまり夏の時期は使ってなくて、あそこに行くならばサロンがあるじゃんみたいな感じなんですけど、冬はやっぱりこたつに入るので、ずっとぎゅうぎゅうみたいな感じです。

高橋 夏場は異様に暑かったですね。今年、有志でエアコンをつけたんですよ。先月くらいですかね。

山下 テレビが1個置いてあってファイヤースティックTVが刺さってるんですけど、みんなでいろんなサブスクに入っていてるので、結構なんでも見れる。U-NEXTとかアマプラとかdアニメストアとか。何でも見れるので、結構そこで映画とかアニメとか見ている人が多いし、上映会も結構定期的にやっています。 一昨日も何人かで観ました。

——印象的なエピソードはありますか?

高橋 私は去年の冬ぐらいからずっとあそこでONEPIECEを見ていて、今何話か分からないけれど、だいぶえげつないスピードで見ています。

米谷 私が入寮前に見学に来た時、当時冬だったので、こたつが人でぎゅうぎゅうだったんですけど、朝方に行ったら、5人くらいがこたつに入ったまま寝ていて、それが私には結構好印象で、入寮前にいいなと思ったポイントではあります。

——気に入っているところ、気に入らないところはありますか?

山下 サロンは風通しがいいんで、冬は超寒くて人が集まんないんですよ。みんな委員会室に流れて、鍋とかやってます。

山下 そんなに大きい部屋じゃないから、みんながぎゅうぎゅうになって鍋やりながら映画見るみたいなのは、寮っぽくていいなと思います。

高橋 サロンもそうですけど、居室から離れてるから、いくら騒いでもいい。

山下 寝れないのは私だけだから。(委員会室の奥に山下さんの居室がつながる。他の寮生の居室と間取りは若干異なる。図面は居室のパートに掲載。)

米谷 外から帰ってきたら、最初にちょっとちらっとサロンと委員会室を覗いてから私は部屋に帰るようにしてます。

2階集会室

——部屋の使われ方を教えてください。

高橋 冬の総会とかコムパとかは、暖房があるので2階集会室でやります。あと、春や秋はサロンでやったりもするんですけど、フラクも基本的に2階集会室でやります。普段使いしている人は最近は結構限られちゃいます。大々的に布団とか置くようになったのは去年からですね。

米谷 去年は筋トレ器具がここにありました。今はサロンの奥に移動したんですけど。

山下 資料をデジタル化するための作業スペースがここにありますね。何十年前の資料とかもう紙がダメになってきてるんで、結構なスピードでいろんな資料のデジタル化を進めています。

——ここに来られる方は、事務的な作業以外に勉強などもしたりしますか?

山下 ここで勉強することも全然ありますし、会議や涼しいから来るという人もいます。この部屋は特に何のための部屋というのはないですね。

——気に入っているところはありますか?

米谷 委員会室と同じようにサブスク付きのテレビがある所ですかね。BSが見れるのはここのテレビだけです。

山下 あとは、寮に遊びに来たり見学に来たりした人が記念に落書きしていくことはすごい多いかなと思います。熊野寮生も入試の手伝いに来てくれたりして、名前が壁に書かれていますね。

米谷 部屋の目的が特になく、麻雀音楽室とかと違ってなんでもできるようになってるところは気に入っていますかね。

——非日常的な空間としてここを活用することはありますか?

山下 入寮希望の人の対応とか、 それこそ取材対応とかはここですね。やっぱりこの部屋は落書きで隙間なく埋め尽くされていて、寮っぽさが一番伝わりやすいかなと。あとは昔のストライキを記録した落書きなどもあって、当時の雰囲気を感じますね。

麻雀部屋

——なにか印象的なエピソードはありますか?

高橋 役満あがったら壁一面にバーって書けるんですけど、あれだけの役満があの場で生まれたんですね。(右の写真)どれだけの学生が時間を無駄にしただろうか、と思ってしまいます。

山下 ある卒寮生が来た時に、僕が麻雀部屋でいっぱい名前を見ましたって言ったら、「ずっと麻雀しかしてなかったのがばれちゃうじゃん」とすごくバツが悪そうにしていました。

——よく使われる時間帯はありますか?

高橋 昼に開いてることはあんまりないんです。夜に雰囲気を漂わす。最近は蛍光灯になりましたけど、前までは裸電球1つの真下で超古い麻雀卓で打ってて、雰囲気が出てました。

——部屋には卓が3台ありましたが、どのように使っているのですか?

高橋 元々いちばん古い卓ひとつしかなかったんです。ある卒業生が来た時に、4位とったら新しいの買ってくださいよって言って1戦やって、最初その人は4位にならなかったんですよ。その後に、「まだ1時っすね。じゃあもう1戦やりますか」みたいな。で、もう1戦やって、3人で頑張ってその人を4着にさせて10万円ぐらいの卓を買っていただき、今はその卓でやってるんですよ。

山下 成功したら何々、失敗したら何々みたいな、全奢りでコムパを開催しますみたいな、確約っていう文化がありまして。もう一つの卓は、公認会計士などに落ちたら雀卓を寄贈すると確約していた人がいて、その人の寄贈です。

——日常的にこの部屋を使う人はどれくらいますか?

高橋 10人くらいです。人が泊まる時はあそこに布団敷いてみんなに寝てもらったりもします。

麻雀部屋の壁に書かれた役満あがりの記録

インタビュー:2024/9/14,15 インタビュイー(自治会の選考による寮生):山下さん、米谷さん、高橋さん 聞き手・実測調査:岡本陸、川村宗生、榑谷夏香、四十坊広大、船留祐希、松尾侑希乃、山田智也

——日就寮の建物は他の寮の建物と接続していますが、この建物の立地やその構成についてお話しいただいてもいいですか?

山下 現在の日就寮の建物は、1971年に日就寮単体として建てられています。当時、後に建物を拡張する計画があったのかどうかは分からないですけど、居住棟と食堂というかたちで、100人の寮として建てられました。

——他の寮の建物が付随して増えていき、広がっていった時期はいつ頃でしょうか?

山下 本当に日就寮が建てられてすぐですね。当時、戦後にその急ごしらえで建てられた寮が全部寿命だったので、日就寮を始めとして、一斉に建替えられたという感じです。

——今の時点での寮生の人数を教えてください。

山下 40名弱になります、38名かな。今は全員男性です。昔、吉田寮や熊野寮みたいに女性も対象にしようとしたら、やるなら自治寮を潰すぞ、くらいのものすごく強い介入があって負けたっていう歴史があったりします。

——コミュニティの単位や規模感はどのような感じですか?

山下 他の寮であれば、ブロックとか階とかが単位になると思うんですけど、日就寮はそういう文化はないですね。元々そういうのがあれば、既にあるコミュニティに自分が入っていくみたいになると思うんですけど、今年はとりあえずどんどん部屋を開けて人を入れようみたいにしたので、そういうコミュニティはこれからできていくのかなっていう感じですね。今は、彼(米谷さん)みたいに何人か自分の部屋を開放してる人が各階に1人、2人はいるので、そういうところに集まったりしています。あと、誰でもアクセスできるサロンという空間もあるので、全体で交流がありますね。サロンはお風呂に行く途中にあるし、郵便物もそこで回収するので必ずみんなが通りますし、人が集まりますね。

——「サロン」と言われている空間はどこにあたるのですか?

米谷 靴箱の裏のテレビや畳、ソファーがある辺りですね。

高橋 他の寮生が使うことはほぼないです。元々日就寮だけが使うことを想定していたので、現在も4分の1の区画は日就寮の空間になっていますし、たまに何人か卓球しに来たりとかしてますけど、(他の寮から)遠いので、あまり他の寮生は来ません。

——他に、共用部にあたる空間はありますか?

高橋 みんなが集まるような場所として機能しているのはやっぱり2階集会室とサロン、委員会室あたりです。3階の集会室は麻雀やる人だけの部屋みたいになってるし、 4階も最近ちょっと片付けて座卓みたいなのを置いていますけど、去年までは本当にただの本棚というか、本棚とも言えないような感じで、本が雑多に置いてある部屋になっていました。

——2階集会室は、用途にちなんだ名称はないのですか?

米谷 2階集会室なんですよね。「2集」って呼んでいます。音楽室は1階集会室でもあるけれど、音楽室としてしか使っていないので、音楽室と言われています。用途が明確な場所はその名前が先行することもあるみたいな感じです。

——建物の周辺を使うことはありますか?

高橋 本当に外に出てすぐのところは、たまに「管理人」の方が草刈りとかをしていて、それこそ昨日僕はキャッチボールをしました。確かゴールが置いてあるので、バスケットボールもたまにやってたりとか。あとは、ちょっと広いところで、10人弱ぐらいでグローブとボールとバットを使って野球みたいなのを1回やったりしました。寮として使うってことはあんまりないですけど、駐車場の手前のコンクリートの場所でバーベキューしたりとかはしたことあるかな。

 特にイベントで使うとかではなくて、その場にその時間に集まった人たちで何かをやっていて…

米谷 公園みたいな使い方をしてると思います。

——年間通して、地域の人に開くような取り組みや行事は寮で行われますか?「コムパ」があるとお聞きしましたが。

高橋 基本的にはコムパはあんまり外向けという感じではないんですけど、友達とか寮生の知り合いが来て、じゃあ遊びに来たからコムパ開こうとかっていう感じで開いたりします。他にイベントを何かやるときは、基本的にSNSで周知しています。

米谷 フォロワー2000人くらいです。最近は結構活発に動いてる方ですね。

——大学がある時の寮生の1日の流れを教えてください。

高橋 私は基本的に授業がある時間に起きて、朝食も食べずに授業に出て、あんまり早く学校から帰ることもなかったですね。昼食は学校で食べるし、私はミールっていう生協のシステムで夕食も食べられるようにしてるので、授業終わったらとりあえず図書館に行って勉強するか暇潰しをしています。夕飯の時まで図書館にいたり、サークルで麻雀をやっているんですけど、部室で7時くらいまで過ごしたりして、夕飯を食べて帰ってくるみたいな感じですね。だから日中はあんまり寮にいないです。

——大学がない日の食事や寮で取る食事はどういう風に賄われているか、どの場所で食べているか、教えていただきたいです。

米谷 私は大学がない日は、普通の家の1人暮らしの自炊みたいな感じです。キッチンで適当に一品作って、それを部屋に持って行って食べるみたいな、そういう食事が多いですね。

高橋 私は平日は大学で全部食べています。本当に大学入って最初の頃は、 土日だけでもちょっと自分で作ってみるかとか考えてやってたんですけど、 1週間に1、2回しか料理しないってなるとそもそも食材を買いに行くのも無駄だし、作るのがめんどくさくなっちゃって。今は適当にパスタ茹でて出来合いのソースをかけて食べたりとか、コンビニ行って買うって感じです。たまに、寮生がいきなりコムパ開きますとか言って夕飯を作ってくれたりするんで、その時はいただく感じですかね。

米谷 あと、自分は居室を開放しているんですけど、大体誰かいるので、そこにいる人たちに「ご飯を作るぞ」って炊きつけて1人1品作ってもらって、3、4人ぐらいで私の部屋のちゃぶ台でミニコンパみたいなのを開く時も結構ありました。

——委員会室のカウンターに物販がありましたよね。どなたか買いに行ける方が調達してこられているのですか?

山下 はい、そうですね。米とか、時期によっては野菜とか卵とかを売っています。私が買いに行ったりしていますがそれだけじゃなくて、異様に米が安かったと思うんですけど、あれは実家が農家なんで、余って送られてくる米を格安で販売していて。普段買ってる米の利益の回収率とかから見ると回収できてるか怪しいですが。

——委員会室の中でも炊飯器でお米が炊かれていましたが…

山下 あれは共用の炊飯器で、そこで僕とかはご飯食べています。委員会室でご飯食べてる人は何人もいます。

米谷 キッチンとしては、「補食場」っていうところが各階同じ位置にありますね。元々は食堂があったから、あくまで土日とか学食がない時にっていう意味でそういう名前の場所があります。

——生活する上で、寮に対して気に入ってる部分や気に入らない部分などはありますか?

高橋 ここでやっぱり1番最初に出てくるのは風呂なんですよね。それは声を大にして言いたい。

 早く重油をやめろっていう話ですよ。普通にガスにすればお金も節約できるし四六時中入れるようになる。今は重油で沸かしているので、お風呂が19時から1時までしか入れない。

米谷 3ヶ月に1回、日就寮が風呂の掃除当番を受け持っていて、その日の中で各寮生に当番が割り当てられるんですけど、逆に3ヶ月に1回掃除するだけでほぼ毎日大浴場に入り放題っていうのはありがたい。

山下 気に入っているところは、やっぱり常に人がいるところです。建物の構造としてもちゃんとその各階に人が集まるところがあって、 普通に生活している動線上で必ず人に会って交流が生まれるのがいいところだと思います。

——他の寮では1部屋に何人かいる場合が多かったのですが、1人部屋なのは良いポイントですか?

山下 もうすぐ1人部屋終わるんですよね。というのも、日就寮は人が減りすぎていたので、なし崩し的に1人部屋になったというか。2人部屋だったのが、みんなサブの部屋を持つようになって、1人2室で暮らしてて、そのうちサブの部屋の方にいるようになり、いつの間にか1人1人になっていったという感じです。ただ、とにかく人数を回復させることが最優先だったので、広報では1人部屋みたいなことも宣伝していました。今も絶賛議論中で、これから2人部屋にしていくという感じです。

——自治のあり方に関連して、日就寮の権限の範囲や大学との関係性などを教えていただきたいです。

山下 権限に関しては、 吉田寮と恵迪寮の中間ぐらいの権限を持っていて、ここで何をするかは基本的に介入なしで全部自分たちで決めることができています。一番大きいのが入退寮選考権で、寮が持っているかどうかが大事だと思うんですけど、うちは基本的に入退寮は全て自分たちでやっていて、一応大学の公式サイトにも日就の募集は学生たちが独自に行っていますみたいなことは書かれていますね。ただ形式的な話で言うとあんまりはっきりしていないんです。一応、管理運営規定みたいなのが2007年ぐらいに通って、その時に募集は全て大学がやることみたいに規定ではもう決められちゃっているという感じですね。入寮届とかも最終的には全部大学に共有するので、形式的には完全に自治があるんだけれど、大学が潰そうと思ったら、熊野寮や吉田寮よりは簡単に潰せちゃうのかなっていうのはあります。

——自治の制度や確約はあったりしますか?

山下 それは一切なくてですね、うちはそもそも大学と交渉の回路がないんですよね。メールだけというか、その窓口のところに今行けば対応してくれるし、今は窓口さんがすごい話のわかる方なのでなんとかなってるんですけど、大学との公式な話し合いの場が定期的にあるとかっていうことはないですね。大学とちゃんと話し合いの場を作りましょうみたいなことを、今度話し合うんですけど、あんまり公式に担保してくれるものはないなというか。あと東北大は1つ1つの寮は自治会じゃなくて、委員会なんですよ。交渉は寮連と言って、「寮自治会連合」か、全部の寮が一緒に交渉して、それぞれのなかに委員会があるみたいなシステムなんです。そこがかなり前になくなっちゃったので、結構全部宙ぶらりんになっているのかな。交渉してくれる制度は何もないっていうのが、ちょっと今心配なところです。

——寮の中で意見を出したり、意思決定をするプロセスについて教えてください。

山下 日就寮は、1番上の議決機関として寮生総会があります。これが年4回、もちろん全員出席で、基本的に重要なことは全部そこで決めています。それ以外には、委員会メンバー全員プラスその時々に提起される話題に関心を持っている人が出席する会議が毎週あって、基本的に何か提起するならそこでっていう形になりますね。なのですごくシンプルで、寮生総会と週1回の「フラク」だけで基本的には全部回っています。

——では、提案がある人はその週の会議に参加し、そこでの意見を全体の総意としてまとめるなら総会に持ち込むのですか?

山下 そうですね。ただ、総会を待っていると大変なので、最近は結構チャットツールも使っていますね。急いで合意形成しないといけないものがあったりしたときは、そこで全体の確認を取るようにしています。うちは、他の寮よりもかなりチャットツールとかをうまく使えているなと思っていて、discord内で細かくトピックごとに分けて、そこで議論するようにしています。

——最後に発信したいことはありますか?

山下 2点ぐらいあるかなと思います。

 多分うちの寮が他とすごく違うのは、(学生を)365日受け入れるし、着のみ着のままで飛び込んできても一応対応できるようになっているというところです。経済的理由から学べない学生とかが出たら、福利厚生施設のように寮がちゃんとセーフティーネットとして機能するようにっていうところは、日頃から意識してかなり運営しているかなと思いますね。特に最近は一応の給付奨学金とかができて、所得が本当に低い世帯は奨学金とかがもらえると思うんですけど、そうじゃないいろんな事情があったりとか、家族にトラブルがあったりとか、あとはうつ病で大変だみたいな人とかが結構制度からこぼれ落ちやすいので、そういう人にちゃんとアプローチするっていうことをすごく明確にやりつつありますね。

 あと、ホームページでは一応男性しかいない寮っていうことになっているんですけど、2013年から性別条項をなくして入れるようにしようとしました。2013年はやっぱり先進的すぎたかなっていう気もしていますが、今ならちゃんと人が集まってきてやれば、そういうこともできるんじゃないのかなと思っていて、いわゆる男子寮みたいなものになりきってしまわないようにしたいです。あとは、それこそ「ヘテロセクシャルの男性ではないです」っていう風に公言している人もいるので、ハラスメントだったり、そもそもそういうノリが生まれないようにするみたいなことを、敢えて言えば男子寮でやっているっていうのは特徴的なのかなと思います。

居室

——なぜ自身の居室を開放するようになったのですか?

米谷 きっかけはエアコンです。ボート部に入っているんですけど、合宿多めの部活なので部屋を1週間とか空ける時があるんです。その時に「エアコンがあるんだから、いない間誰かここで涼んでいきなよ」みたいな感じで言ったら、いつの間にかそこに布団が増えてて、知らない布団が置いてあった。それが始まりです。

——この部屋にいる人は、多い時や少ない時でそれぞれどのくらいの人数ですか?

米谷 居室は少ない時は私1人なんですけど、多い時は結構多くて。一時期DSがすごい寮内で流行ってて、その時にみんなこの部屋で妖怪ウォッチをしていました。最大ここで5人寝てたこともあります。5人で寝た時は、私はこの椅子のリクライニングを倒して寝て、 ほぼ寝落ちみたいな感じで寝ていました。日中はあんまり人はいなくて、夜が結構多いですね。それこそ夜は大概サロンに集まるけど、何人かこっちに来る。メンバーはだいたい固定でよく見る顔が多いです。

——集まる人は、居室が近かったりするのですか?

米谷 そういうわけではなく、なんとなくの流れです。逆に私も他の人の居室にはとりあえず目的もなくノックして行きます。とりあえずノックして開けてみる、いたらちょっと喋って帰ってくる、みたいな。

——どなたがどこに住んでいるのかは把握されていますか?

米谷 把握しています。多分discordの名前にみんな入寮時期と名前と部屋番号をニックネームみたいな感じでつけてるので、最初のうちはそれで覚えて、今は自然と分かるというか、全員覚えています。

——なにか印象的なエピソードはありますか?

米谷 この部屋にはタイルカーペットが敷いてあるんですけど、ここ(居室)の床って本当に何もしないと、外の廊下から床が続いてるんです。私は結構部屋の改装をすごく力入れてやった方です。タイルを一旦全部剥がして、タイルカーペットを切って。ちょっと実家の協力も仰いでやったっていうのが、個人的には結構思い入れ深いです。

——壁に落書きが見られますね。

米谷 壁は特に手をつけてないです。ここは落書きが少ない部屋だったんですけど、 記録を見ていると、震災時の日記みたいなのがあったりして。震災時にラップを巻いて皿代わりにしていた段ボールがそのメモと一緒に壁に貼ってあったり、 停電時の様子が書かれていたり。「3/14 夜8時 電気キター!!」とか書いてありますね(下の写真)。寮の方針として、部屋の改装は些細なら自由にやって良くて、気になるようだったら、壁の落書きを塗り直しても良いと定められています。ただし、この落書きも文化の一部であるみたいな感覚で、塗り直す前に1回写真とかで記録を取ってから塗り直してほしいみたいな位置づけです。だから、廊下とかも基本的に全部落書きは残してます。部屋によっては、落書きがある方がいいって言って、自分で落書きをしまくっているところもあります。

——今後2人部屋になるとのことですが、心配事はありますか?

米谷 この部屋は荷物が多くてどうしたもんかなと思ってはいます。今まで1人で住んでいて部屋を思いっきり改装しちゃった人とかもいて、 その人を別の人と組み合わせてそこを出ていってほしいとかっていうのも酷だよね、みたいな感じで、それも二人部屋に向けた話がややこしくなる一因になっていたりします。あとは電気容量、電気のブレーカーの話ですかね。3部屋で20アンペアなんですよね。例えば301室、302室、303室で1系統20アンペアなんですよ。すると1人当たり6アンペアちょっとなんですよ。これが2人部屋になって6人になると、1人3 アンペアぐらいしか使えなくて、本当に何もできなくなる。私はここにめちゃくちゃ機械置いたり、エアコンとかすごくいろいろ電気を使っていますけど、これはもう電気を共有する302室、301室の人が奇跡的に電気を使わない人だったりして成り立っているんですよ。だから他の部屋だと、ドライヤーをつける前にちょっとノックをして「今からドライヤーをつけるから気を付けてほしい」と言ったり、そもそも部屋で使わないで廊下のコンセントに挿すとかしています。結構そこは難点というか、どうしようもできないけどどうにかしてほしいなと思っているところですね。

米谷さん居室の壁に残された震災時の記録 (写真左上から3/11-3/14の記述がある)

サロン

——サロンの使われ方、利用頻度、人数などを教えてください。

山下 サロンは帰省している時期でなければ夕方、夜だったら誰かいて何かやってるという感じですよね。必ずみんな通るところだし。明確な目的があるとかではなくて、何となく来るという感じなのがすごく良い。

米谷 誰かいるだろうから行くみたいな。

——印象に残っているエピソードはありますか?

山下 あそこは元々結構文化的な空間としてやろうみたいな感じだったので、レコードが置いてあったり。今は壊れちゃって4階に移動してますが。音響の設備とか。あと、僕とか本棚に推薦図書を置いています。あとコモン文庫というのがあって、本1冊入れて1冊取ってくみたいな、そういう本棚があります。結構ずっと同じ本が置いているように感じるかもしれないですけど、見るたびに本が変わっているんですよ。ちゃんと機能している。多分遊びに来た人がやってると思います。

米谷 普通に有志があそこに買ってきた漫画を置いてくれるから、ありがたく読ませていただいています。たまにdiscordで「何々の何巻買ってきました」とか共有されます。あとは共用のゲーム機があります。

高橋 今そこには、 play stationの3と4が置いてあって、今年なぜかWiiが置かれ、あとSwitchが置いてあります。

——気に入っているところはありますか?

山下 建物の構造として、必ず交流が生まれる場所にいちばん人が溜まる場所があるっていうのはすごい良いですよね。

——使い方のルールはあるのですか?

山下 使い方に規則はないです。結構自由に使ってます。汚すな、名前書かずに共用部に置いておいたらそれは共有物だっていうくらいです。

——総会もサロンで行っていますか?

山下 総会は、(サロン)奥の卓球台とか置いてあったスペースで、ちゃんとそれっぽい形を作ってやってますね。結構仰々しく総会的にやってます。うちは総会が丸1日あるので。昔の寮が潰れそうで大変だった時は15時間の回もありました。金曜の夜の7時、みんな帰ってきてからスタートして、(朝の)8時に終わったり。

高橋 それまでめちゃくちゃ議論して、対立とかがあったんだけれど、6時ぐらいに終わって、朝日を見ながらみんなでタバコ吸って「頑張ろうな」みたいなこともありました。

米谷 今は朝の9時スタートになったんで、(終わるのは)夜ご飯ぐらいかな。

音楽室

——利用人数や頻度、使われ方などを教えてください。

高橋 音楽室を使う人は結構限られていて10人ぐらいです。知っているので言うと、3人でリコーダーアンサンブルをやりたいみたいなことを言って、たまに練習している人がいますね。

米谷 隣の寮の人も来ていますよ。他寮生の人は音楽室を利用する際に連絡する場所があります。でも使われているのは、基本的に土日ですかね。

——特に夜は使い方に配慮がいると思うのですが、使い方のルールなどはありますか?

米谷 夜は音が響くので紳士協定があります。明文化されていないけれど、夜の8時までみたいなことになっています。

——音楽室を音楽以外の用途で使用することはありますか?

米谷 あそこは断熱されていないので夏場は温室みたいになっちゃうんですけど、春は勉強してる人とか結構いました。ちょっと離れた位置にあって、誰も弾いていない時は静かなんで。

——音楽室にある古い楽譜や書籍が気になりました。

山下 音楽室に置いてある本はほぼ全て昔のやつで、結構古いです。バンドを組んだり音楽をやっている寮生の数がすごく多い時期があって、10何年前とかはそんな感じだったらしいです。その時に、そこのものは結構色々整備されたんじゃないかなと思います。

音楽室にある古い書物

委員会室

——委員会室の使われ方を教えてください。

山下 委員会室はあんまり夏の時期は使ってなくて、あそこに行くならばサロンがあるじゃんみたいな感じなんですけど、冬はやっぱりこたつに入るので、ずっとぎゅうぎゅうみたいな感じです。

高橋 夏場は異様に暑かったですね。今年、有志でエアコンをつけたんですよ。先月くらいですかね。

山下 テレビが1個置いてあってファイヤースティックTVが刺さってるんですけど、みんなでいろんなサブスクに入っていてるので、結構なんでも見れる。U-NEXTとかアマプラとかdアニメストアとか。何でも見れるので、結構そこで映画とかアニメとか見ている人が多いし、上映会も結構定期的にやっています。 一昨日も何人かで観ました。

——印象的なエピソードはありますか?

高橋 私は去年の冬ぐらいからずっとあそこでONEPIECEを見ていて、今何話か分からないけれど、だいぶえげつないスピードで見ています。

米谷 私が入寮前に見学に来た時、当時冬だったので、こたつが人でぎゅうぎゅうだったんですけど、朝方に行ったら、5人くらいがこたつに入ったまま寝ていて、それが私には結構好印象で、入寮前にいいなと思ったポイントではあります。

——気に入っているところ、気に入らないところはありますか?

山下 サロンは風通しがいいんで、冬は超寒くて人が集まんないんですよ。みんな委員会室に流れて、鍋とかやってます。

山下 そんなに大きい部屋じゃないから、みんながぎゅうぎゅうになって鍋やりながら映画見るみたいなのは、寮っぽくていいなと思います。

高橋 サロンもそうですけど、居室から離れてるから、いくら騒いでもいい。

山下 寝れないのは私だけだから。(委員会室の奥に山下さんの居室がつながる。他の寮生の居室と間取りは若干異なる。図面は居室のパートに掲載。)

米谷 外から帰ってきたら、最初にちょっとちらっとサロンと委員会室を覗いてから私は部屋に帰るようにしてます。

2階集会室

——部屋の使われ方を教えてください。

高橋 冬の総会とかコムパとかは、暖房があるので2階集会室でやります。あと、春や秋はサロンでやったりもするんですけど、フラクも基本的に2階集会室でやります。普段使いしている人は最近は結構限られちゃいます。大々的に布団とか置くようになったのは去年からですね。

米谷 去年は筋トレ器具がここにありました。今はサロンの奥に移動したんですけど。

山下 資料をデジタル化するための作業スペースがここにありますね。何十年前の資料とかもう紙がダメになってきてるんで、結構なスピードでいろんな資料のデジタル化を進めています。

——ここに来られる方は、事務的な作業以外に勉強などもしたりしますか?

山下 ここで勉強することも全然ありますし、会議や涼しいから来るという人もいます。この部屋は特に何のための部屋というのはないですね。

——気に入っているところはありますか?

米谷 委員会室と同じようにサブスク付きのテレビがある所ですかね。BSが見れるのはここのテレビだけです。

山下 あとは、寮に遊びに来たり見学に来たりした人が記念に落書きしていくことはすごい多いかなと思います。熊野寮生も入試の手伝いに来てくれたりして、名前が壁に書かれていますね。

米谷 部屋の目的が特になく、麻雀音楽室とかと違ってなんでもできるようになってるところは気に入っていますかね。

——非日常的な空間としてここを活用することはありますか?

山下 入寮希望の人の対応とか、 それこそ取材対応とかはここですね。やっぱりこの部屋は落書きで隙間なく埋め尽くされていて、寮っぽさが一番伝わりやすいかなと。あとは昔のストライキを記録した落書きなどもあって、当時の雰囲気を感じますね。

麻雀部屋

——なにか印象的なエピソードはありますか?

高橋 役満あがったら壁一面にバーって書けるんですけど、あれだけの役満があの場で生まれたんですね。(右の写真)どれだけの学生が時間を無駄にしただろうか、と思ってしまいます。

山下 ある卒寮生が来た時に、僕が麻雀部屋でいっぱい名前を見ましたって言ったら、「ずっと麻雀しかしてなかったのがばれちゃうじゃん」とすごくバツが悪そうにしていました。

——よく使われる時間帯はありますか?

高橋 昼に開いてることはあんまりないんです。夜に雰囲気を漂わす。最近は蛍光灯になりましたけど、前までは裸電球1つの真下で超古い麻雀卓で打ってて、雰囲気が出てました。

——部屋には卓が3台ありましたが、どのように使っているのですか?

高橋 元々いちばん古い卓ひとつしかなかったんです。ある卒業生が来た時に、4位とったら新しいの買ってくださいよって言って1戦やって、最初その人は4位にならなかったんですよ。その後に、「まだ1時っすね。じゃあもう1戦やりますか」みたいな。で、もう1戦やって、3人で頑張ってその人を4着にさせて10万円ぐらいの卓を買っていただき、今はその卓でやってるんですよ。

山下 成功したら何々、失敗したら何々みたいな、全奢りでコムパを開催しますみたいな、確約っていう文化がありまして。もう一つの卓は、公認会計士などに落ちたら雀卓を寄贈すると確約していた人がいて、その人の寄贈です。

——日常的にこの部屋を使う人はどれくらいますか?

高橋 10人くらいです。人が泊まる時はあそこに布団敷いてみんなに寝てもらったりもします。

麻雀部屋の壁に書かれた役満あがりの記録

インタビュー:2024/9/14,15 インタビュイー(自治会の選考による寮生):山下さん、米谷さん、高橋さん 聞き手・実測調査:岡本陸、川村宗生、榑谷夏香、四十坊広大、船留祐希、松尾侑希乃、山田智也

——日就寮の建物は他の寮の建物と接続していますが、この建物の立地やその構成についてお話しいただいてもいいですか?

山下 現在の日就寮の建物は、1971年に日就寮単体として建てられています。当時、後に建物を拡張する計画があったのかどうかは分からないですけど、居住棟と食堂というかたちで、100人の寮として建てられました。

——他の寮の建物が付随して増えていき、広がっていった時期はいつ頃でしょうか?

山下 本当に日就寮が建てられてすぐですね。当時、戦後にその急ごしらえで建てられた寮が全部寿命だったので、日就寮を始めとして、一斉に建替えられたという感じです。

——今の時点での寮生の人数を教えてください。

山下 40名弱になります、38名かな。今は全員男性です。昔、吉田寮や熊野寮みたいに女性も対象にしようとしたら、やるなら自治寮を潰すぞ、くらいのものすごく強い介入があって負けたっていう歴史があったりします。

——コミュニティの単位や規模感はどのような感じですか?

山下 他の寮であれば、ブロックとか階とかが単位になると思うんですけど、日就寮はそういう文化はないですね。元々そういうのがあれば、既にあるコミュニティに自分が入っていくみたいになると思うんですけど、今年はとりあえずどんどん部屋を開けて人を入れようみたいにしたので、そういうコミュニティはこれからできていくのかなっていう感じですね。今は、彼(米谷さん)みたいに何人か自分の部屋を開放してる人が各階に1人、2人はいるので、そういうところに集まったりしています。あと、誰でもアクセスできるサロンという空間もあるので、全体で交流がありますね。サロンはお風呂に行く途中にあるし、郵便物もそこで回収するので必ずみんなが通りますし、人が集まりますね。

——「サロン」と言われている空間はどこにあたるのですか?

米谷 靴箱の裏のテレビや畳、ソファーがある辺りですね。

高橋 他の寮生が使うことはほぼないです。元々日就寮だけが使うことを想定していたので、現在も4分の1の区画は日就寮の空間になっていますし、たまに何人か卓球しに来たりとかしてますけど、(他の寮から)遠いので、あまり他の寮生は来ません。

——他に、共用部にあたる空間はありますか?

高橋 みんなが集まるような場所として機能しているのはやっぱり2階集会室とサロン、委員会室あたりです。3階の集会室は麻雀やる人だけの部屋みたいになってるし、 4階も最近ちょっと片付けて座卓みたいなのを置いていますけど、去年までは本当にただの本棚というか、本棚とも言えないような感じで、本が雑多に置いてある部屋になっていました。

——2階集会室は、用途にちなんだ名称はないのですか?

米谷 2階集会室なんですよね。「2集」って呼んでいます。音楽室は1階集会室でもあるけれど、音楽室としてしか使っていないので、音楽室と言われています。用途が明確な場所はその名前が先行することもあるみたいな感じです。

——建物の周辺を使うことはありますか?

高橋 本当に外に出てすぐのところは、たまに「管理人」の方が草刈りとかをしていて、それこそ昨日僕はキャッチボールをしました。確かゴールが置いてあるので、バスケットボールもたまにやってたりとか。あとは、ちょっと広いところで、10人弱ぐらいでグローブとボールとバットを使って野球みたいなのを1回やったりしました。寮として使うってことはあんまりないですけど、駐車場の手前のコンクリートの場所でバーベキューしたりとかはしたことあるかな。

 特にイベントで使うとかではなくて、その場にその時間に集まった人たちで何かをやっていて…

米谷 公園みたいな使い方をしてると思います。

——年間通して、地域の人に開くような取り組みや行事は寮で行われますか?「コムパ」があるとお聞きしましたが。

高橋 基本的にはコムパはあんまり外向けという感じではないんですけど、友達とか寮生の知り合いが来て、じゃあ遊びに来たからコムパ開こうとかっていう感じで開いたりします。他にイベントを何かやるときは、基本的にSNSで周知しています。

米谷 フォロワー2000人くらいです。最近は結構活発に動いてる方ですね。

——大学がある時の寮生の1日の流れを教えてください。

高橋 私は基本的に授業がある時間に起きて、朝食も食べずに授業に出て、あんまり早く学校から帰ることもなかったですね。昼食は学校で食べるし、私はミールっていう生協のシステムで夕食も食べられるようにしてるので、授業終わったらとりあえず図書館に行って勉強するか暇潰しをしています。夕飯の時まで図書館にいたり、サークルで麻雀をやっているんですけど、部室で7時くらいまで過ごしたりして、夕飯を食べて帰ってくるみたいな感じですね。だから日中はあんまり寮にいないです。

——大学がない日の食事や寮で取る食事はどういう風に賄われているか、どの場所で食べているか、教えていただきたいです。

米谷 私は大学がない日は、普通の家の1人暮らしの自炊みたいな感じです。キッチンで適当に一品作って、それを部屋に持って行って食べるみたいな、そういう食事が多いですね。

高橋 私は平日は大学で全部食べています。本当に大学入って最初の頃は、 土日だけでもちょっと自分で作ってみるかとか考えてやってたんですけど、 1週間に1、2回しか料理しないってなるとそもそも食材を買いに行くのも無駄だし、作るのがめんどくさくなっちゃって。今は適当にパスタ茹でて出来合いのソースをかけて食べたりとか、コンビニ行って買うって感じです。たまに、寮生がいきなりコムパ開きますとか言って夕飯を作ってくれたりするんで、その時はいただく感じですかね。

米谷 あと、自分は居室を開放しているんですけど、大体誰かいるので、そこにいる人たちに「ご飯を作るぞ」って炊きつけて1人1品作ってもらって、3、4人ぐらいで私の部屋のちゃぶ台でミニコンパみたいなのを開く時も結構ありました。

——委員会室のカウンターに物販がありましたよね。どなたか買いに行ける方が調達してこられているのですか?

山下 はい、そうですね。米とか、時期によっては野菜とか卵とかを売っています。私が買いに行ったりしていますがそれだけじゃなくて、異様に米が安かったと思うんですけど、あれは実家が農家なんで、余って送られてくる米を格安で販売していて。普段買ってる米の利益の回収率とかから見ると回収できてるか怪しいですが。

——委員会室の中でも炊飯器でお米が炊かれていましたが…

山下 あれは共用の炊飯器で、そこで僕とかはご飯食べています。委員会室でご飯食べてる人は何人もいます。

米谷 キッチンとしては、「補食場」っていうところが各階同じ位置にありますね。元々は食堂があったから、あくまで土日とか学食がない時にっていう意味でそういう名前の場所があります。

——生活する上で、寮に対して気に入ってる部分や気に入らない部分などはありますか?

高橋 ここでやっぱり1番最初に出てくるのは風呂なんですよね。それは声を大にして言いたい。

 早く重油をやめろっていう話ですよ。普通にガスにすればお金も節約できるし四六時中入れるようになる。今は重油で沸かしているので、お風呂が19時から1時までしか入れない。

米谷 3ヶ月に1回、日就寮が風呂の掃除当番を受け持っていて、その日の中で各寮生に当番が割り当てられるんですけど、逆に3ヶ月に1回掃除するだけでほぼ毎日大浴場に入り放題っていうのはありがたい。

山下 気に入っているところは、やっぱり常に人がいるところです。建物の構造としてもちゃんとその各階に人が集まるところがあって、 普通に生活している動線上で必ず人に会って交流が生まれるのがいいところだと思います。

——他の寮では1部屋に何人かいる場合が多かったのですが、1人部屋なのは良いポイントですか?

山下 もうすぐ1人部屋終わるんですよね。というのも、日就寮は人が減りすぎていたので、なし崩し的に1人部屋になったというか。2人部屋だったのが、みんなサブの部屋を持つようになって、1人2室で暮らしてて、そのうちサブの部屋の方にいるようになり、いつの間にか1人1人になっていったという感じです。ただ、とにかく人数を回復させることが最優先だったので、広報では1人部屋みたいなことも宣伝していました。今も絶賛議論中で、これから2人部屋にしていくという感じです。

——自治のあり方に関連して、日就寮の権限の範囲や大学との関係性などを教えていただきたいです。

山下 権限に関しては、 吉田寮と恵迪寮の中間ぐらいの権限を持っていて、ここで何をするかは基本的に介入なしで全部自分たちで決めることができています。一番大きいのが入退寮選考権で、寮が持っているかどうかが大事だと思うんですけど、うちは基本的に入退寮は全て自分たちでやっていて、一応大学の公式サイトにも日就の募集は学生たちが独自に行っていますみたいなことは書かれていますね。ただ形式的な話で言うとあんまりはっきりしていないんです。一応、管理運営規定みたいなのが2007年ぐらいに通って、その時に募集は全て大学がやることみたいに規定ではもう決められちゃっているという感じですね。入寮届とかも最終的には全部大学に共有するので、形式的には完全に自治があるんだけれど、大学が潰そうと思ったら、熊野寮や吉田寮よりは簡単に潰せちゃうのかなっていうのはあります。

——自治の制度や確約はあったりしますか?

山下 それは一切なくてですね、うちはそもそも大学と交渉の回路がないんですよね。メールだけというか、その窓口のところに今行けば対応してくれるし、今は窓口さんがすごい話のわかる方なのでなんとかなってるんですけど、大学との公式な話し合いの場が定期的にあるとかっていうことはないですね。大学とちゃんと話し合いの場を作りましょうみたいなことを、今度話し合うんですけど、あんまり公式に担保してくれるものはないなというか。あと東北大は1つ1つの寮は自治会じゃなくて、委員会なんですよ。交渉は寮連と言って、「寮自治会連合」か、全部の寮が一緒に交渉して、それぞれのなかに委員会があるみたいなシステムなんです。そこがかなり前になくなっちゃったので、結構全部宙ぶらりんになっているのかな。交渉してくれる制度は何もないっていうのが、ちょっと今心配なところです。

——寮の中で意見を出したり、意思決定をするプロセスについて教えてください。

山下 日就寮は、1番上の議決機関として寮生総会があります。これが年4回、もちろん全員出席で、基本的に重要なことは全部そこで決めています。それ以外には、委員会メンバー全員プラスその時々に提起される話題に関心を持っている人が出席する会議が毎週あって、基本的に何か提起するならそこでっていう形になりますね。なのですごくシンプルで、寮生総会と週1回の「フラク」だけで基本的には全部回っています。

——では、提案がある人はその週の会議に参加し、そこでの意見を全体の総意としてまとめるなら総会に持ち込むのですか?

山下 そうですね。ただ、総会を待っていると大変なので、最近は結構チャットツールも使っていますね。急いで合意形成しないといけないものがあったりしたときは、そこで全体の確認を取るようにしています。うちは、他の寮よりもかなりチャットツールとかをうまく使えているなと思っていて、discord内で細かくトピックごとに分けて、そこで議論するようにしています。

——最後に発信したいことはありますか?

山下 2点ぐらいあるかなと思います。

 多分うちの寮が他とすごく違うのは、(学生を)365日受け入れるし、着のみ着のままで飛び込んできても一応対応できるようになっているというところです。経済的理由から学べない学生とかが出たら、福利厚生施設のように寮がちゃんとセーフティーネットとして機能するようにっていうところは、日頃から意識してかなり運営しているかなと思いますね。特に最近は一応の給付奨学金とかができて、所得が本当に低い世帯は奨学金とかがもらえると思うんですけど、そうじゃないいろんな事情があったりとか、家族にトラブルがあったりとか、あとはうつ病で大変だみたいな人とかが結構制度からこぼれ落ちやすいので、そういう人にちゃんとアプローチするっていうことをすごく明確にやりつつありますね。

 あと、ホームページでは一応男性しかいない寮っていうことになっているんですけど、2013年から性別条項をなくして入れるようにしようとしました。2013年はやっぱり先進的すぎたかなっていう気もしていますが、今ならちゃんと人が集まってきてやれば、そういうこともできるんじゃないのかなと思っていて、いわゆる男子寮みたいなものになりきってしまわないようにしたいです。あとは、それこそ「ヘテロセクシャルの男性ではないです」っていう風に公言している人もいるので、ハラスメントだったり、そもそもそういうノリが生まれないようにするみたいなことを、敢えて言えば男子寮でやっているっていうのは特徴的なのかなと思います。

居室

——なぜ自身の居室を開放するようになったのですか?

米谷 きっかけはエアコンです。ボート部に入っているんですけど、合宿多めの部活なので部屋を1週間とか空ける時があるんです。その時に「エアコンがあるんだから、いない間誰かここで涼んでいきなよ」みたいな感じで言ったら、いつの間にかそこに布団が増えてて、知らない布団が置いてあった。それが始まりです。

——この部屋にいる人は、多い時や少ない時でそれぞれどのくらいの人数ですか?

米谷 居室は少ない時は私1人なんですけど、多い時は結構多くて。一時期DSがすごい寮内で流行ってて、その時にみんなこの部屋で妖怪ウォッチをしていました。最大ここで5人寝てたこともあります。5人で寝た時は、私はこの椅子のリクライニングを倒して寝て、 ほぼ寝落ちみたいな感じで寝ていました。日中はあんまり人はいなくて、夜が結構多いですね。それこそ夜は大概サロンに集まるけど、何人かこっちに来る。メンバーはだいたい固定でよく見る顔が多いです。

——集まる人は、居室が近かったりするのですか?

米谷 そういうわけではなく、なんとなくの流れです。逆に私も他の人の居室にはとりあえず目的もなくノックして行きます。とりあえずノックして開けてみる、いたらちょっと喋って帰ってくる、みたいな。

——どなたがどこに住んでいるのかは把握されていますか?

米谷 把握しています。多分discordの名前にみんな入寮時期と名前と部屋番号をニックネームみたいな感じでつけてるので、最初のうちはそれで覚えて、今は自然と分かるというか、全員覚えています。

——なにか印象的なエピソードはありますか?

米谷 この部屋にはタイルカーペットが敷いてあるんですけど、ここ(居室)の床って本当に何もしないと、外の廊下から床が続いてるんです。私は結構部屋の改装をすごく力入れてやった方です。タイルを一旦全部剥がして、タイルカーペットを切って。ちょっと実家の協力も仰いでやったっていうのが、個人的には結構思い入れ深いです。

——壁に落書きが見られますね。

米谷 壁は特に手をつけてないです。ここは落書きが少ない部屋だったんですけど、 記録を見ていると、震災時の日記みたいなのがあったりして。震災時にラップを巻いて皿代わりにしていた段ボールがそのメモと一緒に壁に貼ってあったり、 停電時の様子が書かれていたり。「3/14 夜8時 電気キター!!」とか書いてありますね(下の写真)。寮の方針として、部屋の改装は些細なら自由にやって良くて、気になるようだったら、壁の落書きを塗り直しても良いと定められています。ただし、この落書きも文化の一部であるみたいな感覚で、塗り直す前に1回写真とかで記録を取ってから塗り直してほしいみたいな位置づけです。だから、廊下とかも基本的に全部落書きは残してます。部屋によっては、落書きがある方がいいって言って、自分で落書きをしまくっているところもあります。

——今後2人部屋になるとのことですが、心配事はありますか?

米谷 この部屋は荷物が多くてどうしたもんかなと思ってはいます。今まで1人で住んでいて部屋を思いっきり改装しちゃった人とかもいて、 その人を別の人と組み合わせてそこを出ていってほしいとかっていうのも酷だよね、みたいな感じで、それも二人部屋に向けた話がややこしくなる一因になっていたりします。あとは電気容量、電気のブレーカーの話ですかね。3部屋で20アンペアなんですよね。例えば301室、302室、303室で1系統20アンペアなんですよ。すると1人当たり6アンペアちょっとなんですよ。これが2人部屋になって6人になると、1人3 アンペアぐらいしか使えなくて、本当に何もできなくなる。私はここにめちゃくちゃ機械置いたり、エアコンとかすごくいろいろ電気を使っていますけど、これはもう電気を共有する302室、301室の人が奇跡的に電気を使わない人だったりして成り立っているんですよ。だから他の部屋だと、ドライヤーをつける前にちょっとノックをして「今からドライヤーをつけるから気を付けてほしい」と言ったり、そもそも部屋で使わないで廊下のコンセントに挿すとかしています。結構そこは難点というか、どうしようもできないけどどうにかしてほしいなと思っているところですね。

米谷さん居室の壁に残された震災時の記録 (写真左上から3/11-3/14の記述がある)

サロン

——サロンの使われ方、利用頻度、人数などを教えてください。

山下 サロンは帰省している時期でなければ夕方、夜だったら誰かいて何かやってるという感じですよね。必ずみんな通るところだし。明確な目的があるとかではなくて、何となく来るという感じなのがすごく良い。

米谷 誰かいるだろうから行くみたいな。

——印象に残っているエピソードはありますか?

山下 あそこは元々結構文化的な空間としてやろうみたいな感じだったので、レコードが置いてあったり。今は壊れちゃって4階に移動してますが。音響の設備とか。あと、僕とか本棚に推薦図書を置いています。あとコモン文庫というのがあって、本1冊入れて1冊取ってくみたいな、そういう本棚があります。結構ずっと同じ本が置いているように感じるかもしれないですけど、見るたびに本が変わっているんですよ。ちゃんと機能している。多分遊びに来た人がやってると思います。

米谷 普通に有志があそこに買ってきた漫画を置いてくれるから、ありがたく読ませていただいています。たまにdiscordで「何々の何巻買ってきました」とか共有されます。あとは共用のゲーム機があります。

高橋 今そこには、 play stationの3と4が置いてあって、今年なぜかWiiが置かれ、あとSwitchが置いてあります。

——気に入っているところはありますか?

山下 建物の構造として、必ず交流が生まれる場所にいちばん人が溜まる場所があるっていうのはすごい良いですよね。

——使い方のルールはあるのですか?

山下 使い方に規則はないです。結構自由に使ってます。汚すな、名前書かずに共用部に置いておいたらそれは共有物だっていうくらいです。

——総会もサロンで行っていますか?

山下 総会は、(サロン)奥の卓球台とか置いてあったスペースで、ちゃんとそれっぽい形を作ってやってますね。結構仰々しく総会的にやってます。うちは総会が丸1日あるので。昔の寮が潰れそうで大変だった時は15時間の回もありました。金曜の夜の7時、みんな帰ってきてからスタートして、(朝の)8時に終わったり。

高橋 それまでめちゃくちゃ議論して、対立とかがあったんだけれど、6時ぐらいに終わって、朝日を見ながらみんなでタバコ吸って「頑張ろうな」みたいなこともありました。

米谷 今は朝の9時スタートになったんで、(終わるのは)夜ご飯ぐらいかな。

音楽室

——利用人数や頻度、使われ方などを教えてください。

高橋 音楽室を使う人は結構限られていて10人ぐらいです。知っているので言うと、3人でリコーダーアンサンブルをやりたいみたいなことを言って、たまに練習している人がいますね。

米谷 隣の寮の人も来ていますよ。他寮生の人は音楽室を利用する際に連絡する場所があります。でも使われているのは、基本的に土日ですかね。

——特に夜は使い方に配慮がいると思うのですが、使い方のルールなどはありますか?

米谷 夜は音が響くので紳士協定があります。明文化されていないけれど、夜の8時までみたいなことになっています。

——音楽室を音楽以外の用途で使用することはありますか?

米谷 あそこは断熱されていないので夏場は温室みたいになっちゃうんですけど、春は勉強してる人とか結構いました。ちょっと離れた位置にあって、誰も弾いていない時は静かなんで。

——音楽室にある古い楽譜や書籍が気になりました。

山下 音楽室に置いてある本はほぼ全て昔のやつで、結構古いです。バンドを組んだり音楽をやっている寮生の数がすごく多い時期があって、10何年前とかはそんな感じだったらしいです。その時に、そこのものは結構色々整備されたんじゃないかなと思います。

音楽室にある古い書物

委員会室

——委員会室の使われ方を教えてください。

山下 委員会室はあんまり夏の時期は使ってなくて、あそこに行くならばサロンがあるじゃんみたいな感じなんですけど、冬はやっぱりこたつに入るので、ずっとぎゅうぎゅうみたいな感じです。

高橋 夏場は異様に暑かったですね。今年、有志でエアコンをつけたんですよ。先月くらいですかね。

山下 テレビが1個置いてあってファイヤースティックTVが刺さってるんですけど、みんなでいろんなサブスクに入っていてるので、結構なんでも見れる。U-NEXTとかアマプラとかdアニメストアとか。何でも見れるので、結構そこで映画とかアニメとか見ている人が多いし、上映会も結構定期的にやっています。 一昨日も何人かで観ました。

——印象的なエピソードはありますか?

高橋 私は去年の冬ぐらいからずっとあそこでONEPIECEを見ていて、今何話か分からないけれど、だいぶえげつないスピードで見ています。

米谷 私が入寮前に見学に来た時、当時冬だったので、こたつが人でぎゅうぎゅうだったんですけど、朝方に行ったら、5人くらいがこたつに入ったまま寝ていて、それが私には結構好印象で、入寮前にいいなと思ったポイントではあります。

——気に入っているところ、気に入らないところはありますか?

山下 サロンは風通しがいいんで、冬は超寒くて人が集まんないんですよ。みんな委員会室に流れて、鍋とかやってます。

山下 そんなに大きい部屋じゃないから、みんながぎゅうぎゅうになって鍋やりながら映画見るみたいなのは、寮っぽくていいなと思います。

高橋 サロンもそうですけど、居室から離れてるから、いくら騒いでもいい。

山下 寝れないのは私だけだから。(委員会室の奥に山下さんの居室がつながる。他の寮生の居室と間取りは若干異なる。図面は居室のパートに掲載。)

米谷 外から帰ってきたら、最初にちょっとちらっとサロンと委員会室を覗いてから私は部屋に帰るようにしてます。

2階集会室

——部屋の使われ方を教えてください。

高橋 冬の総会とかコムパとかは、暖房があるので2階集会室でやります。あと、春や秋はサロンでやったりもするんですけど、フラクも基本的に2階集会室でやります。普段使いしている人は最近は結構限られちゃいます。大々的に布団とか置くようになったのは去年からですね。

米谷 去年は筋トレ器具がここにありました。今はサロンの奥に移動したんですけど。

山下 資料をデジタル化するための作業スペースがここにありますね。何十年前の資料とかもう紙がダメになってきてるんで、結構なスピードでいろんな資料のデジタル化を進めています。

——ここに来られる方は、事務的な作業以外に勉強などもしたりしますか?

山下 ここで勉強することも全然ありますし、会議や涼しいから来るという人もいます。この部屋は特に何のための部屋というのはないですね。

——気に入っているところはありますか?

米谷 委員会室と同じようにサブスク付きのテレビがある所ですかね。BSが見れるのはここのテレビだけです。

山下 あとは、寮に遊びに来たり見学に来たりした人が記念に落書きしていくことはすごい多いかなと思います。熊野寮生も入試の手伝いに来てくれたりして、名前が壁に書かれていますね。

米谷 部屋の目的が特になく、麻雀音楽室とかと違ってなんでもできるようになってるところは気に入っていますかね。

——非日常的な空間としてここを活用することはありますか?

山下 入寮希望の人の対応とか、 それこそ取材対応とかはここですね。やっぱりこの部屋は落書きで隙間なく埋め尽くされていて、寮っぽさが一番伝わりやすいかなと。あとは昔のストライキを記録した落書きなどもあって、当時の雰囲気を感じますね。

麻雀部屋

——なにか印象的なエピソードはありますか?

高橋 役満あがったら壁一面にバーって書けるんですけど、あれだけの役満があの場で生まれたんですね。(右の写真)どれだけの学生が時間を無駄にしただろうか、と思ってしまいます。

山下 ある卒寮生が来た時に、僕が麻雀部屋でいっぱい名前を見ましたって言ったら、「ずっと麻雀しかしてなかったのがばれちゃうじゃん」とすごくバツが悪そうにしていました。

——よく使われる時間帯はありますか?

高橋 昼に開いてることはあんまりないんです。夜に雰囲気を漂わす。最近は蛍光灯になりましたけど、前までは裸電球1つの真下で超古い麻雀卓で打ってて、雰囲気が出てました。

——部屋には卓が3台ありましたが、どのように使っているのですか?

高橋 元々いちばん古い卓ひとつしかなかったんです。ある卒業生が来た時に、4位とったら新しいの買ってくださいよって言って1戦やって、最初その人は4位にならなかったんですよ。その後に、「まだ1時っすね。じゃあもう1戦やりますか」みたいな。で、もう1戦やって、3人で頑張ってその人を4着にさせて10万円ぐらいの卓を買っていただき、今はその卓でやってるんですよ。

山下 成功したら何々、失敗したら何々みたいな、全奢りでコムパを開催しますみたいな、確約っていう文化がありまして。もう一つの卓は、公認会計士などに落ちたら雀卓を寄贈すると確約していた人がいて、その人の寄贈です。

——日常的にこの部屋を使う人はどれくらいますか?

高橋 10人くらいです。人が泊まる時はあそこに布団敷いてみんなに寝てもらったりもします。

麻雀部屋の壁に書かれた役満あがりの記録

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