【牧研究室】traverse24 Project
「自分が面白いと思える研究をする」-都市防災計画分野-
牧 紀男
防災研究所は70年以上の歴史を持つ研究所であるが、建築の計画系としては最初の研究室となる。先任の田中哮義先生は火災が専門であり環境系の研究室となっていた。この原稿を書いていて気付いたのであるが2014年度に研究室ができたので、今年でちょうど10年目となる。教員の牧は、最初、建築史を志したのであるが院試で別の研究室に配属となり、そこで布野修司先生と出会い東南アジアの都市・建築の研究を始める。そして、就職はマスコミを目指したのであるが全敗。災害の研究もされていた小林正美先生に拾っていただき博士課程に進学。それから災害のことを研究するようになり、阪神・淡路大震災以降、防災の研究をするようになったという経歴を持つ。そのため研究の関心は幅広く、災害・防災に関わらず学生には「自分が面白いと思える研究をする」ことを学生に勧めている。
ただし、プロジェクトとしては災害・防災に関わることを行っており、2011年の東日本大震災以降は、災害前から復興について考える「事前復興」ということを中心に取り組んできた。防災研の研究者は、地震動や建物被害、火災といったシミュレーションを行う人が多いので、復興についてもシミュレーションを行ってみたいと考え、そのための技術開発を進めてきた(曽我部原稿参照)。また復興を上手く進めるための「コツ・ポイント」の採集を阪神・淡路大震災以来、行っている(「エスノグラフィー調査」)。2016年に発生した新潟県・糸魚川大火について、現地に行った際に忘れ物をしたことがきっかけでエスノグラフィー調査を行うこととなった。その結果、「へー、そうなんだ」ということを数多く採集できた(矢ノ根原稿参照)。