【平田研究室】traverse24 Project
寄せ集めの家 -「ゴミ」 の響き-
四回生 関口 知輝
この世界は響きに満ち溢れている。
緑の生い茂る山を背に、どことなく山並みにのようにも見えるアーチを持つ橋。空や水の色に溶け込むような水色のその橋は、水道管としても使われる水管橋で、川を吹き抜ける風を浴びながら自転車で駆け抜けることもできる。海の方に目をやると、製鉄所の赤と白の煙突が聳え立ち、先からは煙がもくもく。くたびれたような汚れによって色はくすみ、風景の中に当たり前のように紛れ込む。
人は、響きあう世界のことを見ているようで見ていない。解体される、あるいは使われなくなってしまう公共建築物はある種の「ゴミ」といえる。この「ゴミ」を寄せ集めながら次第に人が棲みついていく過程を表記する。敷地を兵庫県加古川市として、加古川で使われなくなるゴミを4つの段階を踏みながら響き合わせ、新たな役割を与えていく。新たな役割を得たまちの「ゴミ」を見た人は、元々の使われ方、世の中の響きあいにも気付いていく。
〈社会に対して〉
住宅など、小さなスケールのものではブリコラージュは実践されている。これを公共建築で行うことで、解体と廃棄という直結する流れに時間的猶予を与える。この住宅の存在によって、公共建築が解体される際に、他の利用法はないか一考の余地がもたらされる。