【神吉研究室】Planning of Dynamism
太秦かろんプロジェクト|太田 裕通
– 多様性を包含する「場」としての実験的空き家活用-
■概要 ―太秦の空き家活用プロジェクト―
2015 年度4 月から開始した京都大学の建築学生が自主的に企画・設計・施工・運営で空き家を多様な「場」の複合体として生まれ変わらせるプロジェクト。敷地は京都太秦、築54 年の木造住宅(9 坪・2 階建て)であり、2005 年までは美大の女子寮「美寮」と呼ばれていたことから「美」を引き継ぎ(「かろん:K a l o n」は古代ギリシャ語で「美」)、より地域に開いた場とするよう、太秦を冠した。
■活用計画 ―シェアハウス+オープンスペース―
1 階をシェアハウスの共用部としてだけではなく、地域に開き、また学生が集える場所としても使えるよう、庭に造られた既存の石畳のレベルに合わせた土間空間をスタジオとして多目的な場として提案した。また2 階は既存の間仕切りをさらに細かく分節するような柱・敷居・鴨居から構成されるフレームを挿入することで、住み手構成や住み方に柔軟に対応した居住空間とした(図1、図2)。
■活動意義 ―多様な「場」としての太秦かろん―
一見どこにでもあるシェアハウスとも見える本プロジェクトは学生や地域にとって、①地域活動のベースキャンプ拠点、②建築学生らによる空間作品を実験する場、③右京区・京北木材やデッドストックを活用する対象等として、捉えることが出来る。一つひとつの切り口はそれ自体珍しいものではないが、それらが小さな空き家の活用に織り込まれている状態こそが重要である。現代において少なくなりつつある、多様性を許容する「場」に空き家は生まれ変わることが出来ることの可能性を示している。
※本プロジェクトは以下のプロジェクトメンバーの協力の下、研究室の枠を越えた運営でおこなっている。(メンバー:北村拓也、伊藤純一、沖林拓実、小林章太、坂野雅樹)