
【小林研究室】地球環境建築スタジオⅠ:自然共生
【Global Environmental Architecutre Lab】English Title: Coming Soon
前書き:大坪 橘平
ABOUT ―概要
変化著しい現代において、持続可能な人間環境とはどのようなものだろうか。そのヒントは、実際の集落や都市が、幅広い自然環境―美しい自然から災害を起こす自然まで―にいかに対応してきたかにあるかもしれない(ローカリティの再評価と未来創造)。
建築は、資源とエネルギーの両面において、環境への影響が非常に大きな領域である。また、建築そのものが、社会という環境を形作るという側面もある。建築を環境との関係の中で捉えなおすことは、持続可能な人間環境について考える第一歩だと考える。
21世紀を目前とした2000年に日本建築学会が発表した「地球環境・建築憲章」では、
①長寿命②自然共生③省エネルギー④省資源と循環⑤継承
の5つの項目が挙げられている。それから25年、四半世紀が経った現在、未来社会にどのような人間環境を創造すべきかという課題はますます大きくなっており、21世紀を創っていく私たちの役割が問われている。
地球環境建築とは何か、明確な答えはまだない。その手がかりとして研究室の基本コンセプトであるローカリティ(地域性)、すなわち地域の文化や風土を起点として、「地球環境建築」を探っていきたいと考える。
Purpose ―目的
「地球環境建築」を探るため、研究(リサーチ)と設計(プラクティス)の作業を行う。
1, 地域の文化・風土から持続的環境のあり方を学ぶ
2, 得られた知見をデザイン等に具現化し、実践的な社会適応を目指す
3, 地球環境建築は一人で成し得るものではない。そのため、取り組む過程で研究室メンバーとディスカッションを重ね、探求を深める。
さまざまな事例を学び、デザインを提案する一連の流れの中で、「地球環境建築」への深い理解と探求を進める。
Thema ―テーマ
今年度のテーマは「自然共生」とする。自然に対する人間の接し方や感受性、自然環境への適応に関する知恵、あるいは自然と共生する循環系を作る技術などをデザインに落とし込む。
なお、本スタジオは5年間を通して実施されるスタジオ・プロジェクトの1年目として位置づけており、「About―概要」で述べた「地球環境・建築憲章」における項目を1つあたり1年かけて取り組んでいく予定である。(来年度は「④省資源と循環」を予定)

Research ―研究(M2:宮田・上和田・内藤 / M1:永田・堀江・大坪)
大学院生による研究の記録である。「自然共生」を共通項として、各自が独自に調査したトピックを持ち寄り、ディスカッションを行った。最終講評に発表を担当した院生(宮田・内藤・堀江・大坪)のレジュメを以下に掲載する。




Practice ―設計(B4:岡本)
学部生による設計の記録。大学院生の研究に触発されながら、抽象的な議論を具体的な敷地とデザインの手法へと落とし込む。最終講評に発表を担当した学部生(岡本)のプレゼンボードを以下に掲載する。

Final Presentation ―最終講評
学部4回生が参加した学内講評会のほか、テーマに関連するゲストを招いた最終講評会およびレクチャーを9月19日に実施した。今年のゲストは建築家の伊藤維さん。伊藤さんの提唱する「非近代のハイブリッド・オブジェクト」としての建築の考え方は、地球環境建築を考える上で大きな示唆を与えるものであり、当日は活発なディスカッションが行われた。
【伊藤さんの講評(一部抜粋)】
「環世界やおめこぼし、荒廃の視点など非常に勉強になった。施主が建築を、欠点のない「購入品」として捉えがちで、クレームゼロを目指す風潮が設計者を委縮させている問題がある。建築は完璧ではなく、関係者とともに作り上げていくものだという価値観を、いかに理解してもらうかが難しい問題である。思想や理念を突き詰めて完璧を目指す方向性とは別に、即興性や非完全性を許容する楽天的な姿勢の中にこそ、建築の美しさや面白さが見出せるのではないだろうか。」

京都大学大学院地球環境学堂 人間環境設計論分野 小林研究室
変容著しい現代社会において、地域の文化や風土から持続的人間環境のあり方を追求する。美しい自然から災害を起こす自然まで多様な姿で示される地球環境の実相と、それらに対応してきた持続的な人間環境の構造を、実際の都市や集落から学ぶ。得られた知見や知識を施策、計画、デザインとして具現化し実践的な社会適応を試みる。