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創造の源としての現場―歩く、見る、聞く、 そして造る―調査心得七ケ条|布野 修司

創造の場

創造の場というテーマについて、Chat GPT に聞いてみた (2023 年9月5日)。

Q1 創造の場とは何ですか? 創造とはなんですか? 創造とオリジナリティの関係は? 生成AI は人類の作り出したものを学習していると思いますが、新たな創造はできますか?

A1 「創造の場」という言葉は、一般的に新しいアイディアや概念が生まれる場所や状況を指します。これは、アーティスト、作家、科学者などが新しいものを発想し、創造的なアウトプットを生み出すための環境や状態を指すことがあります。「創造」とは、新しいものを生み出す行為やプロセスを指します。これは既存のアイディアや要素を組み合わせて新しい概念や形を作り出すことを含みます。創造のプロセスは個人や文化によって異なり、アート、文学、科学、技術などの様々な領域で見られます。「オリジナリティ」とは、独自性や新しさの度合いを指します。創造的な成果物が他と異なるか、新しい視点やアプローチを持っているかどうかが、そのオリジナリティを評価する基準となります。創造とオリジナリティは密接な関係があり、新しいアイディアや作品がよりオリジナルであるほど、その創造性も高いとされます。生成AI(例えば、GANや大規模な言語モデル)は、過去のデータやパターンから学習することによって、新しいものを生成する能力を持つことがあります。これにより、既存の画像、文章、音声などの特徴を学習してそれに基づいて新たなコンテンツを生成することができます。しかし、生成AIが生み出すものは、その学習データに含まれている情報やパターンに基づいています。一方で、完全に新たな創造をするためには、既存の枠組みやパターンを超えて新しいアイディアを生み出す力が必要です。AIはあくまで過去のデータに基づいて生成されたものであり、人間の創造力や直感を置き換えるものではありません。新たな創造は、文化的、感情的、倫理的な側面を含む複雑な要素から成り立つため、AIだけでは難しい場合があります。したがって、AIは新たなアイディアのインスピレーション源となることもありますが、純粋な創造性やオリジナリティを持つ新しいものを生み出すためには、人間の創造力が依然として重要な役割を果たすでしょう。

Q2 人間の創造力はどうやって獲得できますか?新しいアイディアや新しい枠組み、新しいパターンはどうしたら生まれますか?どういうシチュエーショ ンで創造は生まれますか?

A2 人間の創造力を獲得するためには、以下のようなアプローチや要因が役立つことがあります。

1 好奇心を育てる
新しいアイディアや視点を生み出すには、好奇心を持ち、知識や情報を広範に収集することが重要です。様々な分野や文化に興味を持ち、異なる視点を組み合わせることで、新たな洞察が得られる可能性が高まります。

2 異なる分野から学ぶ
異なる分野や業界からの知識を組み合わせることで、新たなアイディアが生まれることがあります。異なる分野の専門家と交流し、知識や経験を共有することで、クロスオーバー的なアイディアが生まれることがあります。

3 問題解決と挑戦
新しいアイディアや枠組みは、問題に対する解決策を探す過程で生まれることが多いです。既存の方法やアプローチに疑問を投げかけ、新しい角度から問題にアプローチすることで、創造的な解決策が浮かぶ可能性があります。

4 遊び心と実験
創造的なプロセスは、ときに遊び心や実験から始まることがあります。新しいアイディアやアプローチを試してみる過程で、予想外の成果が得られることがあります。

5 環境と刺激
創造的な環境や刺激が創造力を刺激することがあります。美術館、ワークショップ、交流会などの場に参加することで、新しいアイディアが湧きやすくなるかもしれません。

6 反復と修正
創造的なプロセスは一度で完璧なものを生み出すのではなく、反復と修正を繰り返すことで洗練されていきます。試行錯誤を通じて新たな視点やアプローチが見つかることがあります。
創造はシチュエーションによって異なることがありますが、一般的に以下のような状況や要因が創造の場を生み出すことがあります。

・無駄な時間やリラックスした状態
思考がリラックスし、無駄な時間を過ごすことで、アイディアが浮かぶことがあります。シャワーや散歩中など、日常の中でのんびりする時間が創造の瞬間につながることもあります。

・挑戦的な状況
問題を解決するための挑戦的な状況や制約が、新たなアイディアの生成を促すことがあります。限られたリソースや時間内で創意工夫をすることで、創造的な解決策が見つかることがあります。

・交流と共有
アイディアを他人と共有し、フィードバックを受けることで、新たな視点やアイディアが生まれることがあります。異なる意見や視点を取り入れることで、より豊かなアイディアが形成されることがあります。

・新しい経験と刺激
新しい場所や環境に触れることで、新たな刺激を受け、アイディアが湧きやすくなることがあります。新しい文化や環境から得たインスピレーションが創造の源になることがあります。創造のプロセスは個人差があり、異なる要因やアプローチが異なる人に対して異なる結果をもたらすことがあります。自分自身の創造力を引き出すためには、多くの経験や試みを通じて自分に合った方法を見つけていくことが重要です。

あっという間に2190字である。このまま続ければ、原稿はすぐにできそうであるが、編集者の問いへの回答としては面白くも何ともないであろう。以上、同じことを聞いて、ホントですか?と言い返してみて欲しい。

われわれホモ・サピエンス(現生人類)と約800から700万年前に分岐したチンパンジーのDNAは98.4%同一であるという。わずか1.6%のDNAの違い、突然変異によってホモ・サピエンスが獲得した本質的能力とされるのは言語能力すなわちコミュニケーション能力である。また、抽象化、概念化の能力、イメージする能力、文字、図像による表現能力、知的設計能力である。ホモ・サピエンスの誕生すなわち「認知革命」と呼ばれるが、要するに、「建てること」すなわち建築する能力を獲得したこと、空間をあらかじめイメージし表現する抽象能力、知的設計力を得たことがわれわれホモ・サピエンスである。

ヴァナキュラー建築の世界

チンパンジーは、毎晩、樹上に寝床をつくるが、一定の住居はつくらない。巣をつくる生物は、モグラ、ホリネズミなどの哺乳類の他、両生類、魚類、爬虫類、鳥類をはじめ、昆虫、蜘蛛、ウニ、甲殻類など多数にのぼる。しかし、ホモ・サピエンス以外の生物の巣作りは遺伝子によってプログラム化されており、その経験をもとに新たな建築、空間形式を創り出すことはない。

「建てること、住むこと、考えることBauen Wohnen Denken」1というのは、マルティン・ハイデガーの哲学的思索のキーワードであるが、「住むこと Wohnen」は、すなわち「生きることLeben」であり、その根源には、「建てることBauen」そして「考えることDenken」がある。東アフリカの大地溝帯(あるいは南アフリカ)で進化、誕生したホモ・サピエンスはやがてグレート・ジャーニーと呼ばれる移住を開始する。移動していったのは、採集狩猟によって食糧を獲得できる居住可能な地域すなわちエクメーネである。北緯70〜72度以北、南緯54〜55度以南は基本的に寒冷のために居住に適さないアネクメーネである。また、高度4000mを超えると居住に適さない。そして、砂漠やツンドラ、ジャングルなど居住に適さないアネクメーネは各地に存在する。しかし、そうしたアネクメーネもエクメーネ化されていくことになる。人類の歴史は、地球全体を人工環境化していく歴史である。ホモ・サピエンスは、移住していったそれぞれの地域で利用可能な建築材料を用いて、創意工夫に満ちた建築をつくり出してきた。そうした建築を「ヴァナキュラー・アーキテクチャー Vernacular Architecture」という。ヴァナキュラーとは、「その土地特有」「風土的」あるいは「地方語」「方言」といった意味である。「根づいていること」「居住」を意味するインド=ゲルマン系の言葉で、ラテン語の「ヴァナクルム vernaculum」は「自家製」「家で育てた」という意味をもつ。建築は基本的に「地」のものである。「地」とは、地域の自然生態系に拘束された「特定」の「場所」のことである。人類は地球をエクメーネと化していく際に、「特定」の「場所」に適合した建築を必要とし、そうした建築を建設してきた。近代以前の人類は、世界各地に珠玉のようなヴァナキュラー・アーキテクチャーを建設してきた。

1 ドイツ工作連盟主催ダルムシュタット建築展で行った講演 (1951)のタイトルであり、著書のタイトル。Martin Heidegger, “Bauen Wohnen Denken. Vorträge und Aufsätze”, Klett Cotta, 2020 中村貴志『ハイデッガーの建築論―建てる・ 住まう・考える』中央 公論美術出版、2008 年。

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