【田路研究室】建築論の探求と建築設計の実践
EcoQuartier
修士課程二年生 尾上 潤
「EcoQuartier」とは
「EcoQuartier」は和訳すると「エコ地区」で、簡単に説明すると、フランス版の持続可能なまちづくりのプロジェクトであり、またその特別な認証を受けたエリアの名称です。世界遺産と同じように、持続可能なまちをつくり出す機能と、それを周囲に認識させる作用のある存在であると考えていただいて差し支えないと思います。なぜこの研究を始めたかについて説明すると、現在日本においてSDGsが叫ばれていますが、正直なところ持続可能なまちとは何なのか、どうやって推進すればいいのかということは誰も分かっていないのではないかと感じたところに起因します。それに対して、世界でも有数のエコな国であるフランスは、システム的にも、そして事例数的にも確立した「EcoQuartier」という存在があり、そこから日本のまちづくりへの示唆を行えるのではないかと考えました。
「4つの軸と20の約束」と「4段階のステージ」
「EcoQuartier」では明確に持続可能なまちが定義されています。各定義に関しての詳細な内容は図Aの縦軸を参照していただくとして、ここでは定義の構造のみ紹介します。「EcoQuartier」ではまず大雑把に持続可能なまちを図Bのように4つのdimensions(軸)で定義しています。それに従って順番にengagements(約束)、notion(要素)がぶら下がっています。またこうしたまちの定義だけではなく、時間経過とプロジェクトの進行度合いによって4段階のステージでの評価付けがなされています。SDGsなど他の指標と比べて、かなり詳細で強力な定義づけと評価システムがあることが分かります。
今後の研究の方向性
今回は「EcoQuartier」の一部のみの紹介に留まりましたが、本研究ではさらに各プロジェクトにクローズアップした考察をします。何がまちづくりに求められているのかという考えを自分のなかで発見することを目標にしています。